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住まいの夢と夢の住まい 布野修司



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●2008年8月29日 著:士(サムライ)

日本において住まうことへの想像力が萎えてしまっている。

と筆者は考えている。

そこで、
自身のインドネシアを中心としたアジア各地でのフィールドワークでの経験で触発されたこと
や、多くの著作に触れて、

日本の住まいを規定し、日本人の住居観を縛っているものを一瞬解き放ち、
広大な住まいへの夢の世界を可能なかぎり拓いてみたい。

を目的として本書は書かれていると思う。

そして、その構成は以下の通りである。

————————————————————————————–

はじめに

Ⅰ 住家を持たざる夢

Ⅱ 群居せず----集団の形

Ⅲ ちいさいおうち----限られた空間

Ⅳ 場所への愛(トポフィリア)

Ⅴ 建築家なしの世界----住まいの技法

Ⅵ 永遠の家----住まいのコスモロジー

おわりに

————————————————————————————–

先に述べたように、フィールドワークでの経験や著作からの紹介の部分が多いので、
筆者の思いが端的に表れているのは、“はじめに”だと思う。

“はじめに”を要約すると、

日本においてはいま、住まうことへの想像力は著しく衰え、萎えてしまっている。
住まいは建てるものではなく、買うものである。カタログのなかから選ぶ商品にすぎない。
商品としての住まいは、一見、多様で豊かな住まいのあり方を示しているように見える。
しかし、間取りを見ればどれも同じようなものになっている。
住まいのあり方を支配しているのは、
住まいの規模、価格、都心からの距離で、経済原理である。
多様なデザインが跋扈するということは逆に、
日本人の住まいとはなにかが問われていることを意味する。
しかし、日本人の暮らし方そのものが画一的だから、住まいの形式が画一的なのも当然である。
さらに、遠距離通勤に耐えている給与生活者にとって、住まいはただ寝る場所であり、
ほとんど意味を持っていないのだから、
そもそも自分の住まいとはなにか、という問いからして成り立たないのかもしれない。

(中略)

明治以降、日本の住まいの目標は欧米lの住宅であった。住まいの近代化、西欧化を目指した。
洋風のスタイルを追い、椅子座の生活を導入しようとし、
家族団欒のための居間中心の間取りを取り入れてきた。
また、なによりも欧米並みの居住水準、規模を追い求めてきた。
日本人が「終の住処」と考えるのは、なぜか庭付き一戸建ての持ち家である。
この所有へのこだわりはいったいなんなのか。
住まいを所有するという意識を捨てたら、
また、住まいと土地との関係を切り離したら、どうなるのか。
さらに、「終の住処」という考え方自体を離れ、住まいを恒久的なものと考えないとすると、どうか。
「家族の形によって住まいの形は異なる。また、集団の形によって集落の形は異なる。
しかし、家族の形にしろ、住まいの形にしろ、僕らはなんとなくとらわれてはいないか。
住居は規模ではない。方丈の庵にだって無限の宇宙を込めることはできる。
どんな住居でも物理的には限定されているのだけど、無限の空間を夢見ることはできるのではないか。
住居は地面の上に建つ。重力の支配する世界では、逃れらないことだ。
しかし、そうした地上の世界から逃れて住むとしたら、どうだろうか。
たとえば、空中に住む、地中に住む、水の上に住むと考えてみたら、
まったく異なった世界が見えてきはしないか。
住居もまた生き物である。物理的な意味での住居は、いずれ朽ち果てる。
しかし、人は時として永遠の住まいを夢見ることができのではないか。
すっかり萎縮し、衰退してしまった住まいへの想像力をもう一度取り戻す必要がありはしないか。
そのためのひとつの可能性として、日本の住まいを規定し、
日本人の住居観を縛っているものを一瞬解き放ち、広大な住まいへの
夢の世界を可能なかぎり拓いてみたい。

上記のような意図の本なので、ややもすると挑戦的だと感じたりするところもあるが、
何よりも、共感できるのは、
今、日本において、“住まいへの想像力”が著しく衰えているということだ。

現在(2008年8月)、日本では国の政策として200年住宅などの長寿命住宅などが謳われ始めているが、
そもそも、住まいとは何かという問いに対して、答えられなかったら、物として(物理的に)200年の
耐久性があっても、結局、長く住まわれることはないと思う。

何が大事で、どんな生活を目指すのかをはっきりさせることが、先ずは、何をするにしても、第一歩のように思えた。

本書でも、規模ではないと書かれているが、規模ももちろん関係ない。
そして、読者を触発するためかもしれないが、地中、空中、水上、路上の住まいについても、
そこから、何か触発されたり、刺激を受けたり、発見することはあっても、それが目的でもない。

ただ、今、固定観念に縛られていて、面白い家、魅力的な家が少ない。

“それを打破したい!”と思う。

それには、いろいろなことをできれば実体験、そうでなくても本や写真を通じて知る必要があるとも感じた。

以下に、本書で気になった単語を羅列して、私自身の備忘録も兼ねたい。

「樽のディオゲネス」 ギリシャの哲学者 キュニコス学派

ストリート・ドゥエラー(路上生活者)
ペイヴメント・ドゥエラー(舗道居住者)
ストリート・ピープル(街路民)

ノマド(遊牧民)
カンポン(都市内集落)
ホームレス・ヴィークル
 クリストフ・ウォディコに設計された移動、洗濯、睡眠、休憩、トイレ、集荷などの多機能搭載の移動住居

トレーラの台車の上にアパートをのせた移動式ハウス

ノマドの住まい
①車上住居
②ゲル
③天幕住居
④イグルー イヌイットの雪の住居
⑤船上住居

バラック

ガーベッジ・ハウジング 廃物利用

コアハウス

方丈庵 鴨長明

群居せず

ロビンソン・クルーソー、一遍(聖人)、種田山頭火

「家族の構造」 中根 千枝
(1)血縁(親子、兄弟関係)
(2)食事(台所、かまど)
(3)住居(家屋、部屋、屋敷)
(4)経済(消費、生産、経営、財産) を家族の基本的要素

東南アジアの親族原理は「双系」である。(父系からも母系からも辿れる。)

「ちいさいおうち」    ヴァージニア・リー・バートンの絵本(1942年)
世代を超えた家
何代にもわたって存続する丈夫な家
時間に耐える家
家の歴史を刻む家
動く家(嫌な都会から引っ越す自在さを持っている)
決してお金で売り買いできない家

「真夜中の家」      植田 実

「こんな家に住みたいナ」 延藤 安弘

宇宙船地球号

米国アリゾナ州ツーソン郊外の砂漠に
13,000平方メートルのガラス張り建物に
外部世界と隔絶された状態で、8人の男女が2年間暮らすという実験。
太陽光と電力を除くと全て自給自足。空気と水も自給自足する。

結果は失敗。

1991年9月、8人の男女は実験を中止。

酸素濃度が低下し生存に関わるまでに至った。

原因は不明。

酸素を呼吸する土中の微生物が大量発生した。

「バイオスフィア2」内のの環境が安定するまでには20年はかかる。

中国
土を材料とした建築を生土(せいど)建築と総称する。夯土(はんとう)建築
夯土は付き固めた土のこと。版築。
版築は堰き板の間に土を入れて突き固め、順次堰き板をスライドしてゆく方法。

土坏建築
土坏は、型枠のなかに湿気のある土を入れて突き固め、天日で乾燥させた日乾煉瓦を
平積み(煉瓦のいちばん広い面を下にして積む方法)と
こば立て積み(長手方向の側面を下にして積む方法)を上下交互に繰り返して積む。

窟洞建築
窟洞は、掘る。